弾性変形と塑性変形~破壊の前に起きること~:破壊工学の基礎知識2 – Tech Note(テックノート)



破壊工学の基礎知識

更新日:2017年12月7日(初回投稿)
著者:NDI Japan 代表 谷村 康行

前回は、応力や強さを中心に破壊工学の基礎を解説しました。ものが壊れるかどうかを決定するのは、力の大きさではなく、単位面積当たりの内力である応力です。応力に着目すると、破壊という現象をシンプルに説明できます。今回は、破壊に至る前に応力が大きくなるに従って、材料の中で起きる弾性変形と塑性変形について説明します。

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1. さまざまな応力-ひずみ線図

材料を引張試験にかけると、荷重-伸び線図から応力-ひずみ線図が得られます。応力-ひずみ線図からは、材料が耐えられる最大応力が分かるだけでなく、外部から力を受けて壊れるまでのプロセスを観察できます。図1に、定性的な3つの応力-ひずみ線図を示します(試験材料は鋼材を想定しています)。人に個性があるように、材料の破壊のプロセスにも個性があります。

図1:さまざまな応力-ひずみ線図

図1:さまざまな応力-ひずみ線図

図1に挙げた3つの応力-ひずみ線図で共通しているのは、応力が小さいとき(荷重をかけ始めたとき)グラフは直線を示し、さらに応力が加えると曲線なり、破壊に至る点です。グラフの初めの直線範囲では、材料は力を受けて変形しても、力を取り除くと元の形状に戻ります。これを弾性変形といいます。弾性変形の範囲では、結合している原子同士は加えられた力に応じて互いの距離を変化させます。引っ張る力(引張力)を受けた場合は、原子同士の距離が長くなります。力が取り除かれれば、原子同士が引き付け合う力の作用で、元の距離関係に戻るのです。応力をσ(シグマ)、ひずみをε(イプシロン)、比例定数をEとすると、応力は、直線の式であるσ=E・σで表すことができます。Eは縦弾性係数、またはヤング率と呼ばれ、材料の変形しにくさを表しています。Eの値が大きいと、直線の傾きは大きくなり、伸びにくい性質であることを意味します。

2. 塑性変形とせん断応力

応力-ひずみ線図の後半部分は、曲線を示します。この曲線範囲では、変形した材料から力を取り除いても、変形は元に戻りません。これを塑性変形といいます。塑性変形の範囲では、材料は、ずれるように変形します(図2)。この変形に関与しているのは、せん断力です。引張試験では、材料中に引張力だけではなく、せん断力も発生しています。材料を引っ張っているのに、せん断力が発生しているのはなぜでしょうか?

図2:塑性変形の模式図

図2:塑性変形の模式図

応力をイメージする方法に、仮想切断があります。材料が切り離されているイメージを、頭の中で思い描く方法です。もちろん実際には切り離されていません。切り離されていないからこそ、外部から力がかかっても分離しないのです。外部から力がかかっても、分離をせずに形を保つように作用する単位面積当たりの力を応力と呼んでいます。

例えば、材料に引張力が加わったとき、力の方向に直交する面(仮想断面)を想定してみましょう。そこには面を引き離そうとする力に、抵抗する力の存在を想定できます(図3の上)。これが、引張応力です。仮想的に切断してみる面は、外力に直交する面でなくてもよいのです。引張力の方向に対して斜めの面で、仮想切断をするとどうでしょう? 斜めの面では、面を引き離そうとする力と、面をずらそうとする力に分かれることが想定できます(図3の下)。斜めの面の傾き(角θ)が大きくなればなるほど、面を引き離そうとする力は小さくなり、面をずらそうとする力は大きくなります。

図3:仮想断面に生じるせん断力

図3:仮想断面に生じるせん断力

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3. 延性破壊とぜい性破壊

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