オンキヨーGRANBEATを自腹購入 あらゆる音が心地よい – 日経トレンディネット



オンキヨー&パイオニアイノベーションズの「GRANBEAT DP-CMX1」は、8万円クラスの高音質デジタルオーディオプレーヤー(DAP)の機能を備えたSIMフリースマートフォン。前編では、これまでのハイレゾ再生スマホと何が違うのかを紹介した。後編は、自腹で購入したライターが、デジタルオーディオプレーヤー、スマホの両面からその実力を解説する。

 前編では、「GRANBEAT DP-CMX1」の機能面、性能面で注目すべきポイントを挙げたが、この記事では、高音質DAP好きやスマホ好きが気になるこだわりの部分を実際に試して紹介していこう。

 GRANBEATの本体上部を見てみると、ヘッドホン端子が大小2つある。大きいほうは一般的なスマホと同じ、3.5ミリヘッドホン端子だ。前編で紹介したとおり、通常のスマホとは一線を画す音質と出力性能を持っている。スマホ用のマイク付きヘッドホンもそのまま利用できる。

オンキヨーの「GRANBEAT DP-CMX1」。実売価格は9万円前後

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左側が2.5ミリバランス駆動対応のヘッドホン端子、右側が3.5ミリの一般的なヘッドホン端子だ

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 もう一つの小さい端子は「バランス接続」対応の2.5ミリヘッドホン端子だ。元はハイエンドオーディオや業務用途などで使われていた、複数のアンプで高い出力を得る「ブリッジ接続」という方法を、高音質DAPに取り入れたものだ。近年では、高価格帯の高音質DAPの多くが採用している。なお、利用するには対応したヘッドホンやイヤホンが必要となる。

 バランス接続の仕組みを簡単に説明すると、アンプの数を2倍に増やし、ヘッドホンと接続する左右のステレオケーブルの回路を分離したものだ。利点としては、音声出力時にアンプ1基あたりの負荷が減った分、アンプの応答速度が改善され、音の解像感やダイナミックさが向上する。また、通常のヘッドホン端子だとステレオの左右の音が干渉しあうクロストークが発生しやすいが、バランス接続だと干渉が大きく軽減され、音のクリアさや左右のステレオ感の広がりが向上する。

 オーディオ回路部は、ESS TechnologyのDAC(D/Aコンバーター)「SABRE ES9018C2M」と、アンプ「SABRE 9601K」をそれぞれ2基ずつ搭載する。バランス接続は通常1基のDACと2基のアンプでも実現可能だ。だが、GRANBEATでは、2基のアンプに対応した2基のDACを搭載。これにより、途中に余計な回路を挟ままずに済む、高音質にこだわったフルバランス設計を実現している。

GRANBEAT発表会より。スマホのCPUなど処理周りや無線周りと同等の面積を使って、ツインDAC&ツインアンプのオーディオ基板を搭載している

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GRANBEATの「バランス駆動」を試す

 まずは、パイオニアのヘッドホン「PREMIUM SOUND SE-MHR5」(実売価格1万7000円前後)でバランス接続を試してみた。

パイオニアのヘッドホン「PREMIUM SOUND SE-MHR5」(同1万7000円前後)。バランス接続対応ケーブルが付属しており、初心者にとっても便利な製品だ

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 このヘッドホンは、ヘッドホンケーブルとバランス接続対応ケーブルが付属しており、簡単に交換できる。一般的なケーブル交換対応ヘッドホンは実売2万円を超えるものが多く、さらにバランス接続対応ケーブルは別売りの製品が多い。そんななか、低価格でバランス接続を気軽に楽しめる高コストパフォーマンスの製品となっている。初心者がGRANBEATのバランス駆動を楽しむにはうってつけの製品だ。

 使い方は、ヘッドホンのバランス接続対応ケーブルをGRANBEATの2.5ミリヘッドホン端子に差し込むだけ。通常のヘッドホン端子への接続と比べると、バランス接続中はGRANBEAT本体がやや暖かくなる。

 バランス接続にはBTL駆動とACG駆動という2つの動作モードがあるが、このうちBTL駆動は「バランス駆動」とも呼ばれる通常の方式で、左右2基ずつのアンプで効率よく出力を得られる。一方、ACG駆動は左右2基ずつのアンプのうち片方を回路の安定に活用する方式だ。

 BTL駆動を試すと音の響く空間が広がり、それぞれの楽器やボーカルの定位がより明瞭になった。また、楽器やボーカルなど音の分離がよく、音の強弱のメリハリがついたパワフルな印象だ。それに対して、ACG駆動は通常のヘッドホン端子の音の傾向を維持したまま、高繊細かつやや響きが良くなった印象を受けた。曲のジャンルなども影響するが、筆者としてはヘッドホンなどで迫力ある音を楽しむならBTL駆動、イヤホンで長く曲を楽しむならACG駆動が向いていると感じた。

 バランス接続の効果は、従来のMP3やAACなどの圧縮音源やハイレゾ音源、アプリの音まで音源を問わず明確に感じられる。一度バランス接続を試すと、高音質であっても通常のヘッドホン端子の音ではやや物足りないと感じるほどだ。GRANBEATの音楽機能で最大の特徴なだけに、もしGRANBEATを買ったなら一度は違いを試してみることをお勧めする。




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