2017年6月1日改定、郵便はがき23年ぶりの値上げ理由



不意に発表された郵便はがきの値上げ

平成28年(2016)12月22日、そろそろ年賀状の準備も大詰めというタイミングに、郵便料金が平成29年(2017)6月1日に改定されるとの報道がありました。消費税による料金改定を除けば、平成6年(1994)1月24日に封書基本料金が62円から80円、郵便はがきが41円から50円に値上げされて以来、実に約23年ぶりの値上げとなります。

郵便はがき料金の値上げ

2017年(平成29)6月1日の郵便はがき料金の値上げ。

今回の郵便料金改定の最大の特徴は、定形の封書基本料金は82円のまま据え置きとされるのに対し、郵便はがきだけが52円から62円に値上げされるということです。実は郵便はがきが単独で値上げされるというのは、日本の郵便史上初めての出来事と言えます。昭和56年(1981)4月1日にも郵便はがきだけが30円から40円に値上げされたことがありますが、これは2ヵ月余りの30円暫定料金の終了によるものだからです。

なぜ郵便はがきだけ値上げされるのか?

それでは、なぜ郵便はがきのみが値上げされるのでしょう。簡単に言えば、封書は黒字の収支を保っているのに対し、郵便はがきは年間で300億円近い赤字となっているからです。ここで大切になるのが総括原価方式という考え方です。

郵便料金は電気や水道などの公共料金と同じように、供給原価に基づいて価格が決められます。つまり、赤字にならない範囲でできるだけ利用しやすい価格設定をしなければなりません。

今回の値上げに関する報道資料に目を通すと、日本郵便は値上げの理由として人件費の高騰と郵便物取扱量の減少を挙げています。

ポストと女の子

郵便はがきを持って微笑む少女たち。

郵便はがきに関して言えば、人件費を押し上げているのは意外にもダイレクトメールで使われる圧着はがきが大きいようです。特殊な糊でラミネートされた郵便はがきは押印機や区分機の中での誤作動が多いようで、その処理にかなりの人的コストがかかってしまっているものと推察されます。

年賀状だけ価格据え置きになる理由とは?

同じ郵便はがきであっても、年賀状は取扱量が多く、1通あたりのコストが安く抑えられるため、52円に据え置かれることになります。もっとも虚礼廃止の風潮や、若年層の年賀状の発信通数の減少もあって、平成16年(2004)をピークに年賀状の取り扱い通数は緩やかな減少傾向にありますので、恒久的な据え置きになるかどうかはわかりません。

平成29年(2017)のディズニー年賀

平成29年(2017)のディズニー年賀の印面部。

年賀状の郵便料金だけ安い料金が設定されること自体は過去にもありました。有名なのが昭和26年(1951)11月1日の郵便料金改正です。この時は、郵便はがきが2円から5円に値上げされましたが、すでに昭和27年用の官製年賀はがきは7月から印刷が開始されていたこともあり、昭和27年の年賀状に限っては2円のまま据え置かれました。また、翌昭和28年から昭和41年にかけての年賀状は4円(通常は5円)の割引料金が適用されています。

議事堂はがきの比較

昭和27年(1952)の年賀状の2円議事堂はがき(左)と通常の5円議事堂はがき(右)。(参考価格:各100円)

「規格外」が値上げされるってどういうこと?

もう1つ平成29年6月の郵便料金改正のポイントとなるのは、定形外郵便とゆうメールに「規格内」「規格外」の料金制度が新設されたことです。定形郵便と定形外郵便の区分を残しつつ、さらなる区分が増えて困惑する声も聞かれますが、定形郵便制度ができたのは半世紀以上前の昭和41年(1966)のことですから、定形と定形外だけの区分ではいよいよ実態に合わなくなってきたと言えるのではないでしょうか。

定形外郵便の料金改定

平成29年(2017)6月1日の定形外郵便の料金改定。

今回の料金改定後の新制度では、長辺34cm×短辺25cm×厚さ3cm以内が「規格内」、それを超える大きさのものが「規格外」となります。「規格内」の250gから1kgまでは一部値下げになるほかは、据え置きか値上げされることになります。実はこの「規格内」の大きさは、日本の一般的な郵便受けのサイズに合わせたもので、通常の場合だと厚さ3cmの郵便物までしか入れられません。それ以上大きな郵便物だと、呼び鈴を鳴らすか不在通知を入れて郵便局に持ち戻るしかないため、その分の人件費を郵便料金に転嫁せざるをえないというわけです。

郵便受け

日本の一般的な郵便受けに配達できるのは厚さ3cmまで。

逆転現象?郵便はがきよりも封書が安くなるケースとは

現在、密かにささやかれているのが、郵便はがきが62円になると、場合によっては封書のほうがはがきよりも安くなってしまう可能性があることです。平成29年1月時点での郵便料金表を使った試算ですが、仮に25g以内の定形郵便物を5,000通以上・同一の郵便区内とし、郵便局の定めるカスタマーバーコードを印字して、配達遅延承知で差し出せば、1通当たり56円で差し出すことが可能です。この料金の適用は一般的には難しいかもしれませんが、郵便はがきの定価よりも6円安く差し出すことが可能になります。

価格の差

通数の多いダイレクトメールだと、数円の差が大きな差につながる。

いずれにせよ、これだけ郵便はがきと封書の価格差が縮まれば、今まで圧着はがきを広く利用してきた事業者の中には、封書タイプのダイレクトメールに乗り換えるといった動きも見られるかもしれません。さらに消費税増税によっては、再び郵便料金改定が行われる可能性もあり、今後の動きには目が離せません。




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