スマホ画面をみんなで見るプロジェクター ソニー – 日本経済新聞



 ソニーモバイルコミュニケーションズ(東京・品川)は20日、米グーグルのOS「アンドロイド」を搭載した小型プロジェクター「エクスペリア タッチ」を6月24日に発売すると発表した。同社はスマートフォン(スマホ)と連携した独創的な周辺機器を「エクスペリア スマートプロダクト」とし、人工知能(AI)などを組み合わせた開発を進めている。製品化は、音声でスマホを操作できる耳栓型マイクイヤホン「エクスペリア イヤー」に続く第2弾だ。

 「スマホではできなかったコミュニケーションを提案したい」。都内で開いた発表会で、スマートプロダクトを統括する伊藤博史氏はそう語った。エクスペリアタッチは超短焦点プロジェクターで、スマホの画面を壁や机上に映し出す。スマホは操作する自分だけに限られていた画面を、周囲でシェアできる。複数人でテレビ電話をしたりスマホで撮った写真を見たりすることができ、「うつむきからの開放」(伊藤氏)という。

 最大の特徴は、壁や床に投写した画面をスマホのパネルのようにタッチして操作ができる点だ。本体に搭載したセンサーと赤外線がタッチされた位置を認識。最大10点を把握するため、複数人でも操作できる。無機質な壁や床がスマートスクリーンに変わるというわけだ。市場推定価格は税別15万円前後。

 2008年に立ち上がった「エクスペリア」はもともとスマホのブランドだ。だが同社は最近、スマホだけではなく周辺機器も含めたコミュニケーションツール全体を指すように再定義している。その独創的な製品開発は、AIやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及を見据え、「スマホの次」で覇権を取るための挑戦心の表れとも言える。

 ソニーのモバイル事業は複雑な経過をたどってきた。01年にスウェーデンの通信大手エリクソンと合弁会社を設立し、12年には完全子会社にした。ソニーの平井一夫社長が「世界シェア3割を目指す」と公言した時期もあったものの、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や中韓勢との競争は激しく、14年には1000億円以上の減損を計上し、コストを削減して高付加価値モデルに絞り込んでいる。

 当時、それでもスマホ事業を手放さなかったのは「スマホ市場が成熟してもコミュニケーションはなくならない。スマホの次のデバイスでリードするために、スマホと向き合う必要がある」(平井社長)との考えがある。スマホにとどまらないスマートプロダクトの開発は、まさに「スマホの次」を見つけ出そうという取り組みでもある。「まだ新コミュニケーションの構想を始めたところ」(伊藤氏)という挑戦が、消費者に受け入れられるか。機能訴求だけではなく、15万円という価格に見合う価値をうまくアピールするしたたかさも必要になりそうだ。

(企業報道部 中藤玲)




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