モノクロ1万枚、カラー5000枚 エプソンが新インクシステム採用のビジネスインクジェット

高速化と前面からの給紙カセット/インクアクセスで、多様な環境に適合

2018年01月16日 20時00分更新

文● 天野透/ASCII



ビジネスインクジェット複合機「PX-M884F」(左)とビジネスインクジェットプリンター「PX-S884」(右)

 エプソンは1月16日、ビジネスインクジェット複合機「PX-M884F」とビジネスインクジェットプリンター「PX-S884」を発表した。発売日は1月25日で、価格はPX-M884Fが5万3978円、PX-S884が3万5618円。

 インクカートリッジより大容量化が可能な、パウチ状のインクパックシステムを新たに採用。モノクロ最大1万ページ/カラー最大5000ページの出力の大容量インクと、インクパックをプリンター下部に内蔵することで、PX-M884Fで幅425×奥行き535mmの省スペースを両立したという。排紙トレイは従来の伸縮式から取り外し式に変更。トレイ自体の厚みを持たせ、堅牢性を確保しているとしている。

パウチ状の新インクパック

 電源投入後のファーストプリントは、同社ビジネスインクジェットプリンターで最速のカラー5.3秒、モノクロ4.8秒を達成。用紙カセットは標準で250枚。背面MPトレイからは80枚の給紙が可能。オプションで550枚分の増設カセットを使用すれば、最大880枚まで給紙できる。ハガキ/封筒/厚紙に関しては、本体前面からアクセスできる標準の用紙カセットからの給紙が可能となった。インクも前面からの交換が可能なため、背面が壁の環境でも設置できるとしている。

 給紙機構は従来の土手分離方式からリタード分離方式に変更された。スキャナーの技術を応用したという、2つのローラーを持つ「紙分離ローラー」を採用。1つ目のローラーで用紙を送り、もう1つのローラーが2枚目の紙送りを抑制するという。これにより重送を防いで紙詰まりなどのトラブルを防ぐほか、多様な特殊用紙に対応しやすくなったとしている。

 対応用紙は一般的な普通紙のほか、垂れ幕や横断幕に使う長尺用紙に対応。最小幅は64mmで、小売業などで使われるB6ハーフサイズのプライスカードなども作成できるという。純正紙以外でも、医療業種の薬袋や小売業などのミシン目入り用紙、物流の発送伝票などを、同社で通紙確認済み。プリンター導入検討時には、業務で使用する用紙が通紙確認済みか、ウェブで事前にチェックできるとしている。

 ノズル部には自己診断システムを搭載。ドット抜けを印刷ジョブごとに自動的に検知し、画質を調整する。さらに、本体内には温湿度センサーを搭載してあり、使用環境に応じて印刷スピードや両面印刷時の乾燥時間を最適化しているという。PX-M884Fのスキャナー機能に関しても、ローラーやセンサーといった細かい部品の設計を変更してスキャンスピードを高速化。ADFスキャン速度は、モノクロ/カラーのどちらも24ipmを達成したとしている。

■関連サイト



カテゴリートップへ


「Galaxy Note8」でビジネスが変わる 「働き方改革×デジタル活用」第1回セミナーレポート

時間効率アップ! 業務改善に“効く”「Galaxy Note8」
第4回

ウェルスナビ株式会社・代表取締役CEO柴山和久氏が語るビジネス哲学

2017年12月06日 21時30分更新

文● 南田ゴウ/ASCII編集部

 12月1日開催のASCII主催「働き方改革×デジタル活用」セミナーは、ビジネスの先駆者をゲストに迎えて適切なワークバランスを実現する方法を探っていくもの。セミナー第1回のゲストは、「ロボアドバイザー」と呼ばれるAIを活用した自動投資運用サービス「ウェルスナビ」を提供する、ウェルスナビ株式会社・代表取締役CEOの柴山和久氏だ。

 柴山氏は日英の財務省で合計9年間、予算、税制、金融、国際交渉に参画する。その後、マッキンゼーでウォール街に本拠を置く機関投資家を1年半サポートし、10兆円規模のリスク管理と資産運用に携わった後、2015年4月にウェルスナビを創業した。

ウェルスナビ株式会社・代表取締役CEOの柴山和久氏

 柴山氏のビジネススタイルは独特だ。普段からパソコンは持ち歩かず、仕事上のほとんどのコミュニケーションや意思決定はタブレットでビジネスチャットルール「Slack」を使ってこなしている。その反面、電話やメールを利用する機会はほとんどないという。


柴山和久氏
「自分自身の働き方を最適化できることが第一。仕事のプロセスがなるべく効率的になるようにしています。そのためビジネスチャットツールやクラウドストレージをフル活用しています」

 Slackなどのビジネスチャットツールの企業導入に関して、柴山氏はその利点を語る。


柴山和久氏
「以前のビジネスはプロセスとして違うレイヤーで一気にコンセンサスを図るスタイルでしたが、これがアプリの設計として提供されています。例えばSlackの場合はプロジェクトやテーマごとにチャットルームがあり、関係者が全員入っています。シニアかジュニアかどこの所属か問わずチャット形式で会話できます。複数のチャネルが同時に存在しており、広報活動や業務提携、提案などの案件が同時に動いています。部門間の壁を越えて同時に進行できるのが最大の利点なのです」



柴山氏が活用しているビジネスチャットツール「Slack」。「Galaxy Note8」の約6.3インチの高解像度有機ELディスプレイは1画面に表示できる情報量が多く、効率的にタスクを処理できる

 柴山氏は加えて「組織における意思決定の仕組みは1990年を境に変わりつつある」と語る。印象的だったのは、柴山氏が英国の財務省に出向していた時代のエピソードだ。


柴山和久氏
「英国の財務省で予算編成を担当していましたが、案件の意思決定が速ければ2~3日で済みました。日本の財務省では最速の場合1日で済むこともありますが、ふつうなら1週間。さらに優先度の低い案件なら判子を集める必要があるため、トータルで2週間以上かかってしまいます」

 では、その意識決定速度の違いの理由は何だろうか。柴山氏は以前は日本の方が意思決定が速かったとも語る。


柴山和久氏
「海外企業や組織では幹部が全員個室に入っていました。まるで昔のハリウッド映画のように、何か用があれば幹部がいる部屋のドアをノックして入っていくスタイルです。つまり、組織でまったく横の連携が取れていなかったんですね。日本の組織やオフィスでは大部屋にみんなまとまっています。これは日本企業だけの特徴だったので、圧倒的に意思決定が速かったのです」

 しかし、現在では海外企業や組織の意思決定速度に日本企業が差を付けられていると言われる。何が理由で逆転したのだろうか。


柴山和久氏
「オフィスのレイアウトを変えて、壁を全部取り払ったのです。さらに徹底するため、関係者間でメールをCCで一斉発信するという方法をとりました。日本は元々大部屋に人員がまとまっていたため、メールの普及が遅れました。さらに、日本では稟議を上に上げていくというプロセスが、昔とまったく変わっていないのも原因のひとつです」

 柴山氏は意思決定プロセスで「自分がボトルネックにならない」ために複数案件を並行処理できるビジネスチャットツールを使っている。また、ウェルスナビではチャットだけではなく、顔を合わせてのミーティングも重視している。30分単位という同社のミーティングで活用されているのが、スマホのカメラ機能だ。


柴山和久氏
「たとえば会議ではホワイトボードでコンセンサスをまとめて撮影し、会議に参加した全員で共有します。重要なのは撮影してすぐに共有することです。これが全員の土台になってToDoになったり、パワーポイントの資料になったりします。『案件が逆戻りしないこと』が重要で、次のミーティングで逆戻りしないためにカメラを活用します」

 柴山氏のビジネスの速度感がよくわかるエピソードだ。

会議のホワイトボードやアイデアを書いた付箋を撮影して共有し、案件の逆戻りを防ぐのが柴山氏のスタイル


柴山和久氏
「今でも会議でホワイトボードも使いますが、クラウドのドキュメントを使ってスクリーンに投影しながら議論して議事録を作ってしまうことが多いですね。議事録はミーティングで発言していない人が書き込んでいきます。書き込んだことがその場に表示されるので、意思疎通の齟齬がありません。これで、ミーティングが終わったらすべて議事録がまとまっています。これがウェルスナビだけでなく、スタートアップの世界ではスタンダードな働き方になってきているのです」

 柴山氏はGalaxyのスマートフォン「Galaxy Note8」のマルチウインドウやSペンの手書き入力を試しているという。柴山氏は「Galaxy Note8」のSペンの使い勝手に関して「パソコン用のペンと同じように繊細な文字を書ける」と太鼓判を押していた。

任意のアプリの組み合わせをマルチウインドウでワンタッチで呼び出せる「Galaxy Note8」の「アプリペア」を活用すると、会議中に資料を確認しながらSペンで手書きメモが記入できる

 続いてセミナーの第2部では、ビジネスの問題点を解決するツールとして「Galaxy Note8」に注目。「発想力を高めるツールとしての『Galaxy Note8』活用術」をテーマに、柴山氏に加えて株式会社アバンギャルド代表取締役の戸田覚氏、サムスン電子ジャパン株式会社の糸櫻幹雄氏をゲストに迎えてのトークセッションが開催された。

株式会社アバンギャルド代表取締役の戸田覚氏

 150冊以上の著書をもつ戸田氏は、日夜さまざまな案件の取材や執筆活動を並行で進めている。戸田氏は日々の業務で紙の手帳を使っていたが、現在では「Galaxy Note8」のSペンでデジタル手書きをフル活用しているという。


戸田覚氏
「最近は紙の手帳でスケジュールを管理している方を見ると『だいじょうぶかな?』と思います。紙の手帳はペンを取ってペンのキャップをとって、いざ書き込もうと手帳を開いても、すでにいろいろ記入されています。そこに追加で書き込んだ情報を後で探すのは大変で、非効率です」

 戸田氏はデジタル手書きの利点として「大量に書ける、どのデバイスでも書き込みを見られる、クラウドにアップロードして書き込みを見られる、さらに書き込みを消せること」と語る。また、取材の際にもデジタル手書きが便利だと強調する。


戸田覚氏
「一般企業では取材中にノートパソコンのキーボードをずっと打っていると怒られてしまいます。そこで自分は『Galaxy Note8』のSペンで手書き入力しています。さらに手書き入力中には同時に音声も録音していますね。今までは録音してメモをとって、あとでまとめるというスタイルでしたが、この作業が『Galaxy Note8』ではひとつにまとめられます。しかも、入力した情報はパソコンでもタブレットでも他のスマホでも見られます」

戸田氏は「Galaxy Note8」の手書きメモを取材にフル活用している

 戸田氏は加えて、Sペンの手書きが実は非常に効率的だとも語る。


戸田覚氏
「手書きはアナログな作業ですが、スマホでは非常に入力効率がいいのです。例えばパワーポイントでカンタンな作図をしようとするとテンプレートを呼び出したりして時間がかかりますが、『Galaxy Note8』のSペンで手書きしたら、これが5秒で終わります」

プレゼン資料作成時の作図には手間がかかるが、「Galaxy Note8」のSペンで手書きすると一瞬で作図が完了する

 戸田氏は「Galaxy Note8」の約6.3インチという大画面有機ELディスプレイと1440×2960ドットという高解像度は、営業活動にも役立つと強調する。


戸田覚氏
「開店前の飲食店など暗い室内ではリーフレットが見えませんし、タブレットはそのサイズが邪魔になります。また、相手との信頼感が高まる『恋人の距離』は90センチとも言われます。1~3人のプレゼンや商談でしたら、紙のリーフレットを使わず『Galaxy Note8』を相手に見せるスタイルがいいのではないでしょうか」

 サムスン電子ジャパン株式会社の糸櫻幹雄氏は「Galaxy Note8」の最大の魅力はSペンだと語る。

サムスン電子ジャパン株式会社の糸櫻幹雄氏


糸櫻幹雄氏
「Sペンの手書きが便利だと考えています。実際に社内での会議のメモは『Galaxy Note8』でとっています。さらに書いた文字をそのまま検索できるので、例えばASCIIと手書きするとASCII編集部との打ち合わせメモが表示されます。見つからないという事象が発生しないのです」

 また、メールの返信もインライン回答は改行したり色を変えたりと手間がかかるため、糸櫻氏は「キャプチャ手書き」で書き込んだ画像を返信することも多いそうだ。


キャプチャ手書きを活用すると、メールで来た質問に手書きで回答を書き込んで返信できる

 加えて糸櫻氏がビジネスで役立つ「Galaxy Note8」のポイントとして挙げたのが、範囲選択と翻訳機能だ。


糸櫻幹雄氏
「Sペンは書く以外にもさまざまな活用法があります。マウス代わりにコピー&ペーストの範囲選択が非常に高精度かつ手軽に行なえます。これは指だとなかなかうまくいかないですよね。また、サムスン電子はグローバルカンパニーなので私にもよく英語や韓国語のメールが届きますが、Sペンをかざすだけで言語を選択して即翻訳できます」

 糸櫻氏は「なによりすごいのが、書いたり録音したり撮影したものが全部保存しておけること」「市場には手書きできるパソコンはあるが、スマホでデジタルペン内蔵、かつ手書きできるのは『Galaxy Note8』だけ。こういうデバイスが出てくると、持ち歩くものがすべてポケットに収まります」と語る。

 1部に続いてセミナー第2部にも登壇した柴山氏も、そのモバイル性とビジネスをマルチタスク処理できる「Galaxy Note8」の魅力を熱く語る。


柴山和久氏
「実際に『Galaxy Note8』で最大限活用しているのがマルチウインドウです。会合の際、打ち合わせ場所の地図と案件内容のメールを2画面表示しながら待ち合わせ場所に向かえます。ビジネスチャットツールでの案件の同時処理の話をしましたが、私はビジネスのすべてを同時進行したいので、複数の作業を『Galaxy Note8』だけで同時に処理できるのがすばらしいですね」

柴山氏が絶賛する「Galaxy Note8」のマルチウインドウ機能は、取材先の住所を地図で確認しながら詳細をメールで確認するといったマルチタスクを効率的に処理できる


糸櫻幹雄氏
「柴山さんの話を伺っていると、マルチタスクには『Galaxy Note8』が最適だと考えていました。2画面表示を活用して案件を同時進行すれば、いちいちオフィスにいる必要もなくなりますし、さまざまなことがシンプルにまとまります」

 満員御礼となったASCII主催「働き方改革×デジタル活用」セミナー第1回の会場には「Galaxy Note8」の作業場所やパソコンに縛られないビジネススタイルを実際にタッチ&トライで体験できるスペースも用意。多くの来場者が使い勝手を試していた。

アスキー「働き方改革×デジタル活用」セミナー第2回開催のお知らせ

 ASCIIは限られた時間で成果を出し、よりクリエイティブに働くためのヒントを提供するためのセミナーを開催します。12月8日開催の第2回はジャーナリスト・メディアアクティビストの津田大介氏をゲストに招き、ゲストのビジネススタイルやデジタル機器を活用する自身の仕事の進め方を中心にお話をお伺いします。

 また、株式会社アバンギャルド代表取締役の戸田覚氏による「Galaxy Note8」を使ったビジネス活用講座も実施します。

 サムスン電子ジャパン株式会社の糸櫻幹雄氏もお招きし、「Galaxy Note8」の特徴である手書き機能や、デスクトップPCライクに使えるようになるドック「DeX Station」の効果的な活用方法を紹介します。

セミナー概要

アスキー「働き方改革×デジタル活用」セミナー

主催: ASCII(KADOKAWA アスキー・メディアワークス)
協力: Galaxy
開催日時
第2回 2017年12月8日(金)19:00(開場21:00)
参加登録ページ:http://peatix.com/event/326825/

場所:  KADOKAWA富士見ビル 3F(セミナースペース)
住所:  東京都千代田区富士見2丁目13-12
参加費: 無料(事前登録制、定員50名)

【セミナーテーマ】

1)ビジネスの現場で活躍する先駆者(ACHIEVER)をゲストにお招きし、時間管理、すき間時間の活用、伝わるコミュニケーション、発想力のアップの秘訣などをお伺いしながら、適切なワークライフバランスを実現する方法を探っていくセミナーです。

2)それを実現するためのツールとして、Galaxyのスマートフォン「Galaxy Note8」に注目。利用シーンや操作方法を紹介しながら、作業場所やパソコンに縛られないデジタル活用法も紹介します。

【タッチ&トライについて】
・会場内に「Galaxy Note8」のタッチ&トライコーナーを設けます。

アスキー「働き方改革×デジタル活用」セミナー第2回の概要


第1部「いつでもどこでも感度よく活動する」~場所と時間にとらわれない仕事術

登壇:津田大介氏(ジャーナリスト)

 超多忙な毎日を送る津田大介氏の視点から「本当に必要なデジタル機器は何か」「時間に追われるのではなく、自分で決める」攻めのIT活用のヒントを伺います。

第2部「スキマ時間が超クリエイティブになる」~Galaxy Note8活用術
講師:戸田覚氏(株式会社アバンギャルド代表取締役)
ゲスト:糸櫻幹雄氏(サムスン電子ジャパン株式会社)

・デジタルの手書きがなぜ優れているのか?
・これでノートPCを捨てられる? 「Galaxy Note8」の新機能を使い込む

※セミナー内容に関しては、やむ得ない事情により変更になる可能性があります。

■関連サイト

(提供:Galaxy)



カテゴリートップへ


この特集の記事

「広告宣伝費はページ表示速度と無関係」ウェブページ表示速度ランキング

広告費トップテンに表示速度10位入りは無し

2017年11月30日 19時00分更新

文● 天野透/ASCII

 サムライズは11月30日、『東洋経済オンライン』で2017年9月17日掲載に発表された「『広告宣伝費』が多いトップ300社ランキング」のうち、上位100社を対象にした各社の国内/海外向けウェブサイトのページ表示速度を計測した「Webページ表示速度ランキング」を発表した。

 各社の国内サイトを東京から計測。海外サイトについては対象企業の一部をノミネートし、ニューヨークから計測を実施したという。使用ブラウザーはいずれもChromeで、計測期間は11月1日から8日までの1週間、期間中定期的に対象サイトのトップページにアクセスした場合の結果を、平均表示速度として算出したとしている。

 国内サイトにおけるページ表示速度ランキングでは、広告宣伝費ランキング24位のニコンがページ表示速度0.311秒でトップ。これに広告宣伝費ランキング16位ファーストリテイリングが0.333秒、広告宣伝費ランキング36位のヤマダ電機が0.506秒と続いた。広告宣伝費ランキングの上位10社は、ページ表示速度上位10社にはランクインせず、最もページ速度が速かったのは広告宣伝費ランキング5位のセブン&アイ・ホールディングスで、ページ速度1.546秒のランキング27位。

 計測対象サイト100社の平均ページ表示速度は2.824秒だったのに対し、広告宣伝費トップ10社では3.553秒。同社は「広告宣伝費が高い企業のページ表示速度が必ずしも高速ではない」と指摘している。

 海外向けサイトでは、広告宣伝費ランキング79位のカシオ計算機が1.09秒で首位となり、続いて広告宣伝費ランキング67位のブラザー工業が1.165秒で2位、広告宣伝費ランキング68位の参天製薬が1.741秒で3位。広告宣伝費上位のサイトでは、6位のブリヂストンがページ速度2.414秒で7位だった。

 同社サイトでは、国内向けページ表示速度ランキングのうち上位30位までを無料で公開しており、31位以下のデータは問い合わせにて入手できる。

■関連サイト



カテゴリートップへ


モバイルとチャットで即応 ウェルスナビCEO柴山氏の仕事の速度感

時間効率アップ! 業務改善に“効く”「Galaxy Note8」
第3回

どこでもマルチタスク環境を実現する「Galaxy Note8」の実力

2017年11月29日 17時00分更新

文● 藤原達矢(アバンギャルド) 編集●ASCII編集部

 気が付くと時間が足りない──これは現代のビジネスマンに共有する悩みだ。そこで「ロボアドバイザー」と呼ばれるAIを活用した自動投資運用サービスの「ウェルスナビ」を提供するウェルスナビ株式会社・代表取締役の柴山和久氏に、仕事を効率的に進める方法を伺った。

柴山和久

 ウェルスナビ代表取締役CEO。東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。ニューヨーク州弁護士。日英の財務省で合計9年間、予算、税制、金融、国際交渉に参画する。その後、マッキンゼーではウォール街に本拠を置く機関投資家を1年半サポートし、10兆円規模のリスク管理と資産運用に携わる。2015年4月にウェルスナビを創業。

仕事上のコミュニケーションや
意思決定はSlack上で完結する

 柴山氏は東大卒業後、新卒で当時の大蔵省に入省。その後、イギリスの財務省への出向や外資系コンサルティング会社のマッキンゼーなどを経て、2015年4月にウェルスナビを立ち上げた。名だたる大企業や官公庁で、さまざまプロジェクトに携わって来た同氏だが、効率的な仕事の進め方はスタートアップの世界に入って新たに学ぶことも多いという。

 ウェルスナビでは、コミュニケーションのほとんどを「Slack」で行なっている。Slackは、最近流行しつつあるビジネスチャットツールでLINEのようなやりとりが可能だ。「ファイナンス」や「サービス開発」といった案件ごとに関連するメンバーが参加して、チャットでスピーディーに状況報告や意思決定が行なわれていく。柴山氏が初めてSlackを使ったのは、同社を立ち上げる前に通っていたプログラミング学校だという。

 業務を進める上でビジネスチャットツールを使うメリットはいくつもあると柴山氏は語る。

柴山和久氏「各案件を並列で処理できることが最大の利点です。メールは上から順番に並ぶので、どうしても着信があった順にリソースが集中しがちです。一方、チャットツールは擬似的なミーティングが並列に走っているイメージで、自分は必要に応じて各案件に顔を出せば良いので、タスクの切り替えが非常にスムーズです」

 関連する情報がひとつにまとまっている点も重要だ。

柴山和久氏「メールでは、特定の案件に関連する情報をすべて追いかけて探すのは大変です。チャットツールは過去の経緯や関連する資料が1ヵ所にまとまっているので、すぐに状況が把握できるため、意思決定がスムーズになります。物事の決定事項はGoogleドキュメントやGoogleスライド、Googleスプレッドシートで共有しています」

 柴山氏は、キーボードカバーを付けたタブレットとスマホを一緒にどこにでも持ち歩いているという。タブレットを開いている時間の9割以上は、チャットを見ているそうだ。

 社員から判断を求められた内容は「OK」「NG」「会議を開いて詳細を検討」の大きく分けて3パターンで、可能な限り迅速に捌いていく。判断を先延ばしにすることは一切ない。

柴山和久氏「普段はオープンスペースで仕事をしていて、オフィス内でも返信しやすいタブレットを使っています。PCは機密情報の処理や執筆活動などに使う程度で、ほとんど利用していません。電車などで移動している際は、必ずチャットをチェックしています」


柴山氏はタブレットを片手にどこにでも出かけていく

 「スタートアップは圧倒的なスピードで成長し続けることが必須で、それには意思決定の速度が重要」だと話す柴山氏。絶えず各案件の進行状況を確認することで、状況判断や意思決定が遅れないように心がけているのだ。

 もちろん、ビジネスチャットツールはタブレットだけでなくノートパソコンやスマートフォンでも利用できる。柴山氏のタブレット利用法は、Galaxyのスマートフォン「Galaxy Note8」でも実現できるテクニックだ。

一方、柴山氏がアナログに頼る部分もある。1日のToDoは、紙に印刷して机に置いているそうだ。理由は「Slackを見ている画面からカレンダーに切り替える動作がもったいないから」(柴山氏)。タブレットではチャットツールをフル活用できるように環境を整えているのだ。

電話やメールはマルチタスクに不向き

 柴山氏は業務でチャットツールを使いこなす一方で、電話やメールはほとんど利用していないという。その理由は明確だ。

柴山和久氏「電話は基本的にひとりとしか話せません。通話している間は、その案件にかかりきりになってしまうのです。また、話した内容も文章として残らないので、関係者に共有する余計な手間がかかります。メールも送信をするには宛先を指定する必要があり、チャットツールと比べてスピードが阻害される原因になります」

 「先日もある外資系企業の友人と話していて『まだメールを使っているの?』と驚いた」と語る柴山氏。創業以来チャットツールでビジネスを回してきた柴山氏は、マルチタスクが阻害される電話やメールが主役でなくなる日も近いと考えている。

 一般的なスマホやタブレットはマルチタスク作業が可能だが、基本的にひとつのアプリやサービスの全画面表示が中心。このため、柴山氏はタブレットを活用しているが、スケジュール確認のためカレンダーに切り替えることはしない。アプリの切り替えというムダな作業が発生するためだ。このムダを解決できるのが「Galaxy Note8」だ。

 「Galaxy Note8」はマルチウインドウで指定したアプリを2画面同時に表示する「アプリペア」機能を活用することで、マルチタスク環境をワンタッチで呼び出せる。例えば、打ち合わせの所在地を確認しながらもう一方のウインドウで案件の概要をメールやクラウドで確認したり、スケジュールを随時更新したりと並行して作業できる。もちろん、チャットツールとカレンダーなど、約6.3インチという大画面を活かした2画面表示も可能。柴山氏が重視するマルチタスク作業には最適だ。

 出先でスマートフォンを使うことがあると語る柴山氏は、一瞬でマルチタスク環境を構築できる「Galaxy Note8」に驚きを隠さない。移動中に取引先までのルートを地図アプリのナビで確認しながら、同時に別ウインドウで会社のチャットを確認できるのだ。

柴山和久氏「外では地図を見る機会は多いのですが、このマルチウインドウは便利ですね」

 そんな柴山氏に、仕事関連でやり取りしたメールや電話の数を教えてもらうと、毎日片手で数えられるほどしか来ておらず、ゼロの日もあった。社外の人とやり取りする場合に使わざるを得ないケースもあるが、基本的に取引相手の社長などと直接会う機会が多いため、実は電話やメールでのコミュニケーションはほとんど発生しないという。

 次に利用頻度が高いサービスは「Facebookメッセンジャー」だ。1日10件前後通知が来るという。取材した日も7件来ていた。

柴山和久氏「日本のスタートアップはFacebookの利用が基本ですね。Facebookを仕事に利用するのは、日本の特徴だと思います。アメリカでは、同僚や部下とはFacebook友達になることはありません。仕事のネットワーキングはLinkedlnがメインです」

 ビジネスの速度感を重視する柴山氏は、チャットツールをフル活用することで効率的にマルチタスクをこなしている。では、その速度感を実現するために、どのように仕事する環境を整えているのだろうか。





この特集の記事

「ワイヤレスオーディオで世界をリード」と語るクアルコムの戦略

2017年06月20日 18時30分更新

文● 南田ゴウ/ASCII編集部

 クアルコムは6月20日、同社のボイス&ミュージックビジネスに関する記者説明会を開催した。オーディオのワイヤレス化トレンドにともない、BluetoothオーディオチップセットやUSB Type-C対応SoCなど5つのプラットフォームを投入する。

クアルコムのシニアSVP兼ゼネラルマネージャーのアンソニー・マレー氏

 説明会にはシニアSVP兼ゼネラルマネージャーのアンソニー・マレー氏が登壇し、最初にオーディオ関連のトレンドを解説した。マレー氏は「音楽はダウンロードではなくストリーミングの需要が高まっており、通信が重要となる」とコメント。さらにワイヤレス化が広まっていると述べた。この理由としてワイヤレスでの音質が向上したことと「ヘッドフォン端子がないスマホが出てきた」と語る。

オーディオ分野のメガトレンド

 音声コントロールもトレンドのひとつだ。マレー氏は「Amazon EchoやGoogle Homeなどの製品が登場しており、我々はこれらの需要に対応していく」とコメント。音声コントロールのためにはこれまで以上にDSPの処理能力が求められると語った。

 最後のトレンドは“ヒアラブル(hearables)”。「ヘッドフォン型でも単に身に付けるだけでなく、健康状況などを検出するインテリジェントなデバイスが増えてきている。さらにこれらのデバイスはケーブルレスで、今後製品サイズや処理性能への要求が高まっていく」(マレー氏)。

クアルコムがオーディオ市場に投入する5つの新プラットフォーム

 続いてクアルコムの新たな5つのプラットフォームが紹介された。最初に紹介されたのはBluetoothオーディオのプラットフォーム。クアルコムはプレミアムとエントリーレベルで製品分布を大別しており、「CSRA68100」はプレミアムセグメントに対応するBluetoothチップセットで、DSP×2、CPU×2を搭載し一方のCPUはBluetoothを処理、もう一方は機器メーカーが利用できる。

 前世代の「CSR8675」はDSP×1、CPU×1の構成で、CSRA68100の処理能力は4倍向上。これまで以上に複雑なアルゴリズムを処理できる能力をもち、ボイスコントロールでより精密にキーワードを検出できるとのこと。



Bluetoothオーディオプラットフォームのロードマップ プレミアムセグメントに位置するCSRA68100の詳細

エントリー向けに投入されるQCC3xxxファミリーの詳細

 次に紹介されたのはUSB Type-CのオーディオSoC「WHS9420」「WHS9410」。上位モデルのWHS9420はハイレゾ(192kHz/24bit)およびノイズキャンセルに対応する。マレー氏は「業界のトレンドはモバイルの世界でヘッドフォン端子がなくなったこと。そしてUSB Type-Cが普及しつつある。このトレンドに対応するSoC」とコメント。

USB Type-CのオーディオSoC

 スマートオーディオプラットフォームはスマートスピーカー向けに開発されたもので、LinuxなどのOSをサポートする。マレー氏は「スマートオーディオにはスマートスピーカー、サウンドバー、ネットワークオーディオという3つのカテゴリーがある。3カテゴリーの製品はそれぞれまったく異なった部品構成だが、ボイスコントロール対応のサウンドバーなど製品の使い方が混ざってきている。この需要に対応するためボイスUIやキーワード検知、ノイズキャンセルなどの複数機能を統合した」と語る。

スマートオーディオプラットフォーム

 最後に紹介されたのはデジタルアンプテクノロジーである「DDFA」。デノンなどのメーカーに供給している既存モデルは2チップ構成だが、新たに発表されたDDFAはシングルチップ化。これにより製品設計の自由度が高まり、ハイエンドオーディオだけでなくさまざまな機器への搭載が可能となる。

DDFAデジタルアンプテクノロジー

 マレー氏は「クアルコムはワイヤレスオーディオの分野で世界をリードしていく」と語り、今後もオーディオ関連技術に注力していく姿勢を示した。

■関連サイト



カテゴリートップへ

“mstdn.jp” ぬるかる氏のエンジニア的ルーツを辿る

異能な人列伝
第1回

「ゲームを買ってもらえなかったから、自分で作るしかなかった」

2017年06月16日 13時00分更新

文● プログラミング+編集部

マストドン界隈における時の人となった、ぬるかる氏。

 この春、一番注目を集めた大学院生といえば、分散型SNSである『マストドン』のインスタンス『mstdn.jp』を立ち上げたぬるかる氏だろう。彼が自宅サーバーで立ち上げたmstdn.jpは、瞬く間に世界最大(当時)のインスタンスとなった。2017年6月13日時点で、13万人が集まる巨大インスタンスだ。

 総務省が実施する独創的な人向け特別枠『異能(Inno)vation』プログラムが今年度も募集を開始した。国が異能を探すプロジェクトとして話題の『異能vation』だが、本連載でも“異能”な才能を見つけ出し、紹介していきたい。第一回は、冒頭で紹介したぬるかる氏。大学院生ながらいち早くmstdn.jpを立ち上げ、現在は株式会社ドワンゴに入社しつつも、継続して運営を行っている。この春、一躍時の人となった、まさに“異能”なぬるかる氏のルーツとは。

様々なインスタンスがあり、一極集中し過ぎていない現状は好ましい状況

―― そもそも『マストドン (Mastodon)』をどうして面白いと思われたんですか?

ぬるかる もともと“GNU Social”っていうプロトコルがありまして、それはマストドンと同じようにインスタンス同士で連合を組めたりするんですけど、以前から興味は持っていたんですが、なかなか設置したりできる機会がなく「今さら……」という気分だったんです。ですが、初めてマストドンを知ったときに「あ、これ、GNU Social互換なんだ」というのが分かって、じゃあやってみようかなという興味がわいたんです。

マストドン (Mastodon) とは

ドイツ人エンジニア、オイゲン・ロチコ (Eugen Rochko) 氏が2016年に公開した分散型SNS。TwitterやFacebookなど一企業が運営するSNSとは異なり、ソースコードがオープンソースで公開されているため、個人や団体、企業などが自由にサーバー(インスタンスと呼ぶ)を立てて独自に運営することができる。日本国内では、ぬるかる氏が運営するインスタンス“mstdn.jp”の登場により、2017年春からユーザーが増加し始めた。詳しい説明は、日本国内でマストドンを取り上げた初の記事と言われている、当編集部・遠藤の『Twitterのライバル? 実は、新しい「マストドン」(Mastodon)とは!』を参照されたい。

―― じゃあ、マストドンのような分散型でオープンソースのTwitter的なものには元から興味があったんでしょうか?

ぬるかる ガッツリ触っていたとか、アカウントを持っていたとかではないんですが、興味はありましたね。

―― その興味はTwitter的ソーシャルな仕組みに対してですか?それとも、分散しつつもサーバー同士が連合するところに対してでしょうか?

ぬるかる マストドンに触れるまでは“連合”について詳しい知識はあまりなかったので、SNSとして興味があったというほうが正しいです。

お話をうかがった当日は、別にテレビ取材も行われていた。

―― ネットの中にはいろんなサービスがあるなかで、マストドンってどんな特徴を持ったサービスだと思いますか?

ぬるかる “ホームタイムライン”だけ見るとTwitterなどと同じようですが、“ローカル”や“連合”という点は特徴的だと思います。

【※編集部注】マストドンには投稿が流れるタイムラインが3つ存在している。

  • ホーム:    自分がフォローしているユーザーの投稿が流れる
  • ローカル:  そのインスタンスに属するユーザーの投稿すべてが流れる
  • 連合:      ローカルタイムラインの投稿に加え、そのインスタンスに属するユーザーが
                フォローしている、他インスタンスのユーザーの投稿も流れる

マストドンのスクリーンショット。画像はインスタンス“friends.nico”のもの。

―― ネットの中にはいろんなサービスがあるなかで、マストドンってどんなサービスだとお考えですか?

ぬるかる “マストドンは500字まで投稿できる”ということについて、初期の頃思っていたのは、それだけの文字数があれば日本語と英語を併記できるなっていうことです。最初マストドンにあまり日本人が居ない頃、「あ、これは日英併記に便利だなぁ」と思っていました。今となっては日本人ばかりですが(笑)。

―― 現在のマストドン界隈について、ぬるかるさんはどう感じられていますか?

ぬるかる 本当に色々なインスタンスが増えていますし、面白い動きもありますよね。たとえば、僕は『けものフレンズ』好きなんですが、インスタンス『ますとどんちほー』は、背景画像のカスタマイズなどの工夫がなされています。いまユーザー数が1000人くらいですけど、これくらいの人数なら管理もしやすいですし。あまりインスタンスを大きくしすぎると管理も大変なので。そう考えると、様々な人がインスタンスを立てていて、一極集中し過ぎていない現状は、好ましい状況だと言えると感じています。

―― 1人で複数のインスタンスにアカウントを作ることについては?

ぬるかる 「このインスタンスのローカルタイムラインが読みたい」と思ったときに、アカウントを登録しておくとやっぱり便利だなぁと思います。あと、もしも1つのインスタンスだけでアカウントを作って、それですべて済ませていると、“なにかあったとき”に困ると思うので、あまり深く気にせずアカウント自体は複数作っちゃうほうがいいのかなと思っています。

――“なにかあったとき”というのは、サーバーがダウンしたり、インスタンスが無くなったりということでしょうか?

ぬるかる そうですね。でも、インスタンスが1つ無くなったからといってサービス自体が無くなるわけじゃないというのも、マストドンの強みだとやっぱり感じますね。たとえそのサーバーがダウンしても、ユーザーは気楽に他へ移れるわけですし。結局のところ、マストドンはユーザーを第一にして作られているサービスだと思っています。

―― 現在のmstdn.jpは、あらゆる人が最初に登録するデフォルト的なインスタンスになっています。マストドンの本来のねらいからするとインスタントして規模が大きすぎるという見方もありますが、どうお考えですか?

ぬるかる はっきりとした趣旨をもったインスタンスはもちろん良いと思うのですが、そういったものがないユーザーの受け皿というか、何も考えずにただ始められる場も大事だと思っています。そういった意味でmstdn.jpの存在は重要だと思っています。

盛り上がるぬるかる氏と当編集部の遠藤。

―― ぬるかるさんは、ドワンゴ就職ということのメリットを活かして、mstdn.jpの運営・管理をきちんとした体制でやっていく判断をされました。その過程で、とても冷静沈着な対応をされていたのが印象的でした。

ぬるかる 冷静沈着だったかと言われると、どうなんでしょうね(笑)。mstdn.jpはユーザー数で言えばやはり特殊で、自分のインスタンスを万単位の登録アカウント数まで膨らませたいと野望を持つ人がいるなら、運営・管理の面ではかなり苦しむことになると思います。ですが、1000~2000のユーザー数でグループを切ってインスタンス運営をするのなら、そんなに難しくはないと思いますし、ぜひそんなふうにして色んなインスタンスが立ってくれれば嬉しいなと思っています。

小学2年でホームページを作り始め、小学4年にはHTMLを書き始めていた

―― ぬるかるさんのエンジニア的なルーツは、どういったところからスタートしたんですか?

ぬるかる パソコンの世界には、本屋で『ホームページ・ビルダー』を買って、ホームページを小学2年で作ったことがきっかけで入りました。体験版の有効期限が切れて、しばらく放置していたんですけど、HTMLを手打ちすればいいっていうのを、小学4年ぐらいに本を読んで気づきました。

―― ちなみに、小学2年で立てられたホームページはどういう内容だったんですか?

ぬるかる 落書きをして描いたキャラクターを載せたサイトです。

―― ご自分で描かれたキャラクターのサイトなんですね。サイトは残っているんですか?

ぬるかる サイト自体は消えています。ただ、小学5~6年のときのものは残っていますね。

―― 当時周りのみんなには見てもらえたんですか? お友達に披露されたりとか。

ぬるかる 完全に自己満足で作っていました。ページビューとかは気にしてなかったですね。

―― それって具体的にはいつ頃のことでしょうか?

ぬるかる 2002年くらいです。最初はJavaScriptのコードを公開しているサイトからコピペしてきていたんですけど、そのうち自分で書くようになりました。

―― そのくらいから本格的なプログラミングに入っていったんですね。

ぬるかる そうですね。他に取り組んでいた内容で言えば、『TOWN』というCGIゲームを設置したりとかもしましたね。バニラ(編集部注:ソフトウェアなどを改変せず、提供された状態のままで使うこと)だとさすがにあれなので、Parlの本を読みながら改造しました。

―― それはいつぐらいですか?

ぬるかる 中学1年から3年くらいですね。

街作りゲームを好んで作っていたからこそ、みんなに遊んでもらいたくて公開していた

ぬるかる氏 with ダンボー氏。

―― そもそも小学2年のときにホームページを立てたところが始まりということですが、ゲームにも興味をお持ちだったんでしょうか?

ぬるかる 小学生のときにRPGを作りたいなと思ったんですが、『RPGツクール』って有料ですよね。そうじゃなくて他に何かないかなぁと思って、『World Wide Adventure』で何かを作ろうとしていた覚えはあります。

―― ゲームを買うんじゃなくて、作りたいと思ったのはどうしてなのでしょう?

ぬるかる あまりゲームを買ってもらえなかったので。

―― ゲームを遊びたかったら作らなきゃいけなかったんですね!

ぬるかる おばあちゃんは買ってくれたりしてくれたんですけどね。

―― ああなるほど(笑)。お父さまお母さまは厳しかったわけですか。

ぬるかる 自分から言わないと買ってくれなかったので。僕あんまり主張するのは得意じゃないんですよ。

―― だったら自分でつくって遊ぼうと色々覚えながら作っていくなかで、プログラミングができるようになった、ということですね。

ぬるかる そうですね。2008年あたりは、自分のホームページにずらーっとCGIゲームを設置しまくっていましたね(笑)。

―― 作られたゲームはご自身専用なんですか? それとも一般の人が遊べるような状態で公開されていたんですか?

ぬるかる 一般の人が遊べる状態ですね。結構な人数のユーザーさんが当時いましたよ。

―― ゲームって、自分だけ遊べるようにしておくのでもいいわけじゃないですか。どうして公開されていたんですか?

ぬるかる 結局『TOWN』は街のシミュレーションで、他の人がいないと面白くないゲームなので。周りにCGIゲームをやってくれそうな人もいなかったので、だったら公開してみんなに遊んでもらいたいなと思っていました。

ゲームにも造詣の深いぬるかる氏。

―― 好きだったのが街作り系のゲームだったんですね。そういうゲームが好きだから、公開せざるを得なかった。

ぬるかる その感覚って、結構ソーシャルゲームに近いのかなと。モリタポ課金とかも設置したので。結局利用されなかったのですが……。

―― 確かに、お金かかりますもんね。

ぬるかる そうですね。自宅サーバーではなく、『さくらのレンタルサーバ』だったので。

―― サーバーレンタルだとまさしくお金がかかるじゃないですか。それって、ゲームを買うより安くついたんでしょうか?

ぬるかる いやー……そうではなかったような(笑)。

―― ちなみに、そのお金って誰が出したんですか?

ぬるかる 親が(笑)。

―― 実はゲームを買ってもらうのと出費額は大きく変わらなかった、と。

ぬるかる けっこう高額なプランを契約していたので……。

―― でも、それがご両親には遊んでいるようには映らなかったということなんでしょうね。パソコンで勉強しているような。

ぬるかる そうですね。

―― そういう経験をお持ちだったからこそ、マストドンにも抵抗なく入られたのかもしれないですね。そういえば、ケモナー(注:ケモノを好む人々の総称)に関してもかなりお好きだとうかがいました。

ぬるかる 僕がマストドンを最初に知るきっかけになる、アスキーのマストドンについての記事を初めて見たのは、『けものフレンズ』を通じて知った人からのつながりだったんですよね。そもそも“マストドン”っていう動物の名前も、『けものフレンズ』に影響されて読んでいた本に書いてあったから、以前から知ってはいたんです。当時“マストドン”っていう動物を検索したら、アメリカのバンドが出てきて。それで「違うなぁ、僕が知りたいのは動物のマストドンについてなのになぁ」って言いながら調べていました。

ゲームはゆっくり1人で作っていきたいし、作りたいウェブサービスもある

―― ぬるかるさんはドワンゴさんに就職されたわけですが、今ドワンゴでは何をされているんですか?

ぬるかる いまのところマストドンを担当しています。今はインフラ周りの知見を蓄えるために技術書を読んだりしています。

―― なるほど。ソーシャルゲームに興味があるとすると、ゲーム会社に就職するという手もあったわけですよね?

ぬるかる 僕自身は、バリバリCGとかの人間ではないので。大学では物理シミュレーションの研究室を選んだのですが、それはCGに関して知識つけばいいかなぁという発想からだったんですね。なのでグラフィックライブラリーの使い方などは分かっているんですが、突き詰めたところ、シェーダーとかにはまだあまり知識がなくて。と言うのも、自分がゲームを作るんだったら、せっかくならすべてやりたいと思っているんです。

―― すべて!

ぬるかる 結局人が来ないとゲームって面白くないので、人を集めないと。その点が仕事として自分が取り組むには難しいのかなって。特にソーシャルゲームって、少し飽和してきつつあるというか。

―― 数年前と比べると、盛り上がりが落ち着いてきているようにも見えます。

ぬるかる 最近のソーシャルゲームは、規模の大きなゲーム会社がお金をたくさん投入して、やっとペイできるというような感じになってきてるじゃないですか。そう考えると、会社でゲームを作るとなれば、自分が関わるのはあくまでもその一部分になるわけですよね。それなら、時間ができたらゆっくり、1人でちょこちょこと作っていくほうが自分には合っているのかな、と思っています。

―― 仕事というよりはライフワークというか。そういう方向なのかもしれないですね。他に、今後やりたいことはありますか?

ぬるかる 今は作りたいウェブサービスがあります。

―― いいですね。インスタンス管理人をやりながら、二足のわらじという感じですか?

ぬるかる そうですね。面白いことがやれたら良いなと思っています。

―― どんなサービスを考えられているのか期待してお待ちしていますね!

お忙しいところ、お話ありがとうございました!
ぬるかる

オープンソース型のミニブログサービスである『マストドン (Mastodon)』のインスタンスである『mstdn.jp』の運営者。2017年4月に個人で立ち上げて運営を開始し、登録ユーザー数が世界規模でも最多クラスのインスタンスとなっている。2017年5月には株式会社ドワンゴへ入社したが、引き続き自身のインスタンスを個人として運営している。

平成29年度『異能(Inno)vation』プログラム

詳細情報、応募は公式サイトをご確認ください。

総務省がICT(情報通信技術)分野において、失敗を恐れず破壊的価値を創造する、奇想天外でアンビシャスな技術課題への挑戦を支援する『異能vation』プログラム。平成29年度は下記の2部門で公募を受け付けています。

両部門とも平成29年度の申請受付は、2017年6月30日(金)まで。また全国で公募説明会を開催中です。詳しい情報は『異能vation』の公式サイト http://inno.go.jp/ をご確認ください。


カテゴリートップへ

この特集の記事