楽しみながら強くなるオススメ無料将棋アプリ3選

人気将棋アプリを紹介!

スマホのアプリでは、いつでも気軽に将棋を楽しめます。対戦系の「将棋ウォーズ」、初心者向けの「1手詰にゃう」、コンピューター相手の将棋も詰め将棋もできる「将皇」の、無料で楽しめる3つの人気アプリを紹介します。
 

対戦系で人気の「将棋ウォーズ」

将棋ウォーズのトップ画面

将棋ウォーズのトップ画面

派手な演出と、すぐに対戦相手が見つかる手軽さで人気を集めているのが『将棋ウォーズ』。公益社団法人日本将棋連盟公認アプリとして、将棋ファンによく知られています。常に、100人から2000人程度の人がアクセスしていて、対戦相手はその中から自動的に選ばれます。対戦成績によって級、段が上がっていく仕組みで、比較的実力の近い相手とマッチングしてくれます。

トップ画面の対局開始をタップすると、対戦相手選別中の画面が現れ、たいていすぐに相手が見つかります。無料版では、1日3局まで対戦を楽しめます。練習対局モードがあり、コンピューター将棋相手に対局ができるので、まずはこちらからやってみるのがおすすめ。

対局ルールは10分切れ負けというもの。将棋は、考えながら指すものですが、プロの公式対局はもちろん、ネット将棋などでも、持ち時間が決められています。10分切れ負けというのは、考える時間が自分も相手も10分ずつで、それを使い切ると負けになります。

自分の指す手を考えている間に10分の時間が減っていき、自分が指して相手の番になると、自分の時間の減りは止まって相手の時間が減ります。勝ちそうになっていたのに、時間切れで負けてしまう人も続出。あまり迷わずに、さっさと指す必要があります。1手1手じっくり考えて将棋を指したい人には、向いていないかもしれません。

反面、10分切れ負けルールだと、20分後にはほぼ確実に将棋が終わります。時間があまりないとき、次に予定があるときでも気軽に楽しむことができるのが魅力。さらに早く指す3分切れ負けの弾丸モードもあります。こちらは、1手2~3秒で指していかないと切れ負けになってしまう、スピード勝負です。

覚えておきたい「投了」

将棋は玉をとられると負けと思われがちですが、実際はその1つ前の段階、相手の駒で攻められ、その駒を取ることも逃げることもできなくなる「詰み」と言われる状態になると負けです。このアプリでは「詰み」になると自動的に勝ち負けが判定され、派手な効果音とともに「勝利」または「敗北」の画面がでてきます。

詰みの前に、駒をたくさんとられたりして、どう考えても負けてしまうという状態になったとき、アプリを閉じて対局を終わりにしてしまうのはマナー違反。投了(負けを認めること、実際の将棋では、「負けました」と相手に頭を下げます)するのがマナーです。

メニューをタップすると現れる画面

メニューをタップすると現れる画面

対局画面の右上の「メニュー」をタップすると現れるのが、上の画面。青い投了ボタンをタップすると投了でき「敗北」になります。「棋神」とは、コンピューターが、自分の手番に5手自動で指してくれる機能。課金して「棋神」を使う権利を買うこともできますが、無料版でも、対局後に「棋神」をもらえることがあります。

強い方ですと「棋神」を使うよりも自分で指したほうが良かったなんて思うこともあるようですが、たいてい「棋神」を使うと、形勢がよくなるようです。ただし、負けそうになっていて、どんなに良い手を指しても挽回が難しいような場面では、使えません。

簡単でかわいい「1手詰にゃう』」

駒の動かし方を覚えたばかりという人にもおすすめなのは「1手詰にゃう」。 将棋で勝つには、詰みの状態を作ることが必要です。1手詰というのは、詰ます1手を考える問題です。ねこのイラストがかわいく、女性にも人気のアプリです。

1手詰にゃうの問題

1手詰にゃうの問題

上の画面では、金の前に香を打てば玉がどこにも行けなくなる「詰み」になります。このような1手詰の問題が簡単なレベル1で25題。ちょっと難易度が上がるレベル2で25題、次々に出てきます。全問正解するとレベル3、レベル4の問題も25題ずつ出てきます。詰みのパターンを覚えるのは将棋に勝つために必要なので、見た瞬間に答えが分かるようになるまで繰り返すのもいいでしょう。

トップ画面右下の時計をタップすると、60秒の間に1手詰めを解けるかというタイムアタックができます。ここで、60秒に100問解けるようになれば、このアプリは卒業といえます。

幅広く楽しめる将皇

将皇の実践詰将棋の画面。自分の盤上の駒と持ち駒を使って、相手の玉を詰ます

将皇の実践詰将棋の画面。自分の盤上の駒と持ち駒を使って、相手の玉を詰ます

コンピューター将棋との対戦、実践型詰将棋、勝ち切れ将棋と1つのアプリで幅広く楽しめるのが「将皇」。対局は、対戦するコンピューターの強さを、覚えたて、レベル0、1、2、3の5段階から選ぶことができます。

将棋は、相手も自分も20枚の駒を使う平手と呼ばれる対局が一般的ですが、実力差のある相手と対局する場合は、強いほうが飛車や角などの駒を落とす(使わない)駒落ちという方法があります。

「将皇」は、平手で対局できるのはもちろん、飛車角に加えて、左右の金、銀、桂、香の10枚の駒を落とす「10枚落ち」から、角だけを落とす「角落ち」までの駒落ちも選べるので、平手で勝てない場合、10枚落ちから始めて、勝てるようになったら落とす駒の数を減らしていくのもいいでしょう。うっかり悪い手を指してしまったら「待った」をタップすれば、その手がもとに戻ります。

「将皇」では、駒落ちでも、先手か後手か選べる設定になっています。実際、プロ棋士に教えてもらう場合や、強い人と対局するような場合、駒落ちは必ず、駒を落としたほう(強いほう)が先手と決まっています。

「実践詰将棋」も、詰みに関係のある盤面の一部だけを切り取った一般的な詰将棋とは違い、将棋盤全体が出てくる形。一般的な詰将棋では、自分の持ち駒(相手からとって、自分が好きなところに打てる駒)はすべて使い切って詰ませますが、「将皇」では、持ち駒が余ることもよくあります。一般的なものとは違うことを理解して楽しんでください。

「実践詰将棋」もレベルが4段階に分かれ、右の画像は一番簡単な「入門」のもの。3手(相手の応じる手も含めて)で詰ますことができます。分からなければ、ヒントを使うこともできます。

もう1つ、勝ちそうな場面から、実際に勝ちを目指す「勝ち切れ将棋」もレベル別に楽しめます。「実践詰将棋」と「勝ち切れ将棋」は、1日1問レベル別に問題が更新され、過去の問題を解くこともできます。

今回は3つのアプリを紹介しましたが、1000問以上の詰将棋が解けるアプリや、自分が指した将棋を記録することができる棋譜アプリなどたくさんのアプリがあります。楽しみながら取り組むうちに、自然と将棋が強くなると嬉しいですね。

【関連記事】

将棋は子供の教育に役立つか?ヒントは「知床」にあり

集まる注目

取材を受ける子ども達

取材を受ける子ども達

将棋界はルネサンス期に入った。過去記事でそう書いた

とくに藤井聡太四段という歴代最年少中学生棋士の誕生と、その後の連勝記録に注目が集まり、子ども将棋教室を主宰するガイドにも新聞・テレビなどの取材が相次いだ。

「藤井さんの活躍について、どう思いますか?」

ガイド、いささかというか、たっぷり便乗気味に、人生のピークを迎えた感がある。取材を繰り返されるうち、なんだか偉くなったような、果ては藤井四段が自分の教え子であるかのような錯覚にさえ陥っていた。マスコミって怖っ。というか鼻をふくらませている自分が情けない。

まあ、それはともかくである。教室の子ども達にも藤井四段に関する質問がされていた。続けて、多くのメディアが子ども達に尋ねていたのは、下記のような質問だ。

「将棋をしていて良かったなって思うことは、どんなことですか?」

この質問は、将棋の教育的効果の自覚を問うているに他ならない。マスコミは大多数の代表として取材に来ている。だとすれば、今、多くの関心は、そこにあるに違いない。

将棋は子育てに役立つのか?

では、鼻をふくらませずにガイドします。

将棋のプラスアルファ

記者会見などにおける藤井の中学生とは思えぬ落ち着き。これには辛口コメンテーター達もため息を漏らした。もちろん視聴者も驚嘆した。

テレビに引っ張りだこの棋士は藤井だけではない。加藤一二三のあの明るい笑顔(関連記事)。豊川孝弘の恐るべき「だじゃれ」回転力(関連記事)。

どうやら、将棋に精進すると、将棋の腕が上がるだけではない。将棋にはプラスアルファがありそうだ。お茶の間に、そう感じる人が増えてきた。

将棋とは対極感のあるスポーツ界も然り。野球界を代表する名監督・野村克也は「野球で必要なことはすべて将棋にある」と語った。また、日本オリンピック委員会が開催した「平成28年度オリンピック有望選手研修会」では羽生善治の著書『捨てる力』が紹介された(関連記事)。

では、子育てにも好影響があるのではないか。子ども達は先ほどの質問に声を大にして答えていた。

「友達が、増えた」

「じっくり考えられるようになった」

「勉強ができるようになった」

などなど。やはり、何かがありそうだ。

ガイドが実感する、将棋の教育効果

過去にも述べてきたように、ガイドは大分県別府市で子ども将棋教室「将星会」を開いている。以前は小学校の教員や、補導員、体育指導員、少年院の面接委員もやっていた。必然的に、かなり幅広く、いろんな子ども達と30年以上関わることができた。

将棋をする子はお得をしている。

手前味噌に聞こえるかもしれないが、これが実感だ。

将棋をする子どもが得る「お得」は「知床」にあり

世界遺産・知床

世界遺産・知床

どんなお得をしているのか。キーワードは「知床(しれとこ)」だ。流氷の南限であり、多種多様な生物の宝庫、世界遺産・北海道を代表する岬「知床」。

子ども達には「知床の地」のように豊かな成長がもたらされているのである。ガイドしよう。 

知床の「し」――集中力

集中の表情/ガイド撮影

集中の表情/ガイド撮影

「し」は集中力だ。81マスに展開される勝負。1手1手に相手の手と自分の手との価値の吟味が要求され、気を抜く暇がない。

しかも、将棋には特有の即負けルールがある。いかに優位に進めていようとも、例えば二歩(同じ列に自分の歩を2枚にしてしまうこと)をした途端に反則負けになる。この即負けルールが、いやが上にも集中力を高めてくれるのである。

参考までに以前のガイド記事をご覧いただきたい。『将棋のルールを覚えよう』 

知床の「れ」――礼儀

礼儀の一場面/ガイド撮影

礼儀の一場面/ガイド撮影

「れ」は礼儀だ。伝統文化でもある将棋。居ずまいを正しての挨拶は基本中の基本。

「王将」と「玉将」をどちらが取るか、駒の持ち方、並べ方、対局時計の扱い方まで、様々なマナーと作法が確立されている。だから、知らず知らずに礼儀が身についていく。これも将棋の特徴だ。

こちらも、参考までに以前のガイド記事をご覧いただきたい。『将棋のマナーと作法を覚えよう』 

知床の「と」――到達

到達の喜び/ガイド撮影

到達の喜び/ガイド撮影

「と」は到達だ。将棋には段級位がある。これは教室や道場、日本将棋連盟の支部だけでなく、ネットの将棋サイトや将棋アプリにも必ず設定されている。つまり、常に自分の到達目標が数値で表されているのだ。将棋により、到達の喜び、充実を知る機会がぐっと増えるのだ。

これまた、参考までに以前のガイド記事をご覧いただきたい。『自分の上達を把握する指標、「段級位」

知床の「こ」――交流

交流での役割/ガイド撮影

交流での役割/ガイド撮影

「こ」は交流だ。わずか40センチ程度の盤を挟んでの対局。そこには言葉もいらぬ交流がある。

一例をあげれば、大震災(2016年「熊本大分地震」)の被災地、大分の復興1周年将棋イベントに、福岡将棋会館(館長:関口 武史五段)の子ども達が、豊川孝弘七段(関連記事)とともに駆けつけてくれた。大分側の主催者として、感謝・感激しきりの交流会だった。

また、将棋の交流は時として海さえも越える。実際に上海の使節団の皆さんと子ども達の将棋交流に関わった経験があるが、言葉も通じぬ者同士が、出会ったその日に盤に向かいあえるのだ。こんな経験は、なかなかできるものではない。

流氷のごとく寄ってくる、将棋の教育効果

楽しく学ぶ/ガイド撮影

楽しく学ぶ/ガイド撮影

いかがだろうか。将棋をする子ども達はかように「知床」を身につけていくのである。そして、もう一つ明記しておきたいことがある。それは、将棋のルーツが遊びであるということだ。

遊びを原点とするがゆえに、子ども達にとって取り組みやすい文化だと言えよう。だからこそ、「知床のお得」は流氷のごとく寄ってくる。そして豊潤な産物を育んでくれるのである。

どうです。将棋っていいでしょ?

じゃあ、お前は知床なのかって?そこは、シレっと、こたえずにしれとこう(しておこう)。

おあとがよろしいようで。

(了)

追記

「敬称に関して」

文中における個人名の敬称について、ガイドは下記のように考えています。

(1)プロ棋士の方の活動は公的であると考え、敬称を略させていただきます。ただし、ガイドが棋士としての行為外の活動だと考えた場合には敬称をつけさせていただきます。

(2)アマ棋士の方には敬称をつけさせていただきます。

(3)その他の方々も職業的公人であると考えた場合は敬称を略させていただきます。

「文中の記述/画像に関して」

(1)文中の記述は、すべて記事の初公開時を現時点としています。

(2)ガイド撮影の画像については、すべて個人情報の取扱において許可を得ています。

「強い」とは何か?藤井聡太四段の将棋から考える

将棋における強さとは

将棋における強さとは

史上最年少棋士にして、29連勝という史上最多を記録した藤井聡太四段(関連記事)、愛棋家のみならず、大変な注目度である。

余波であろう、ガイドも地元テレビや新聞にこう尋ねられた。

「藤井四段の強さについて一言」

良い機会である。今回は将棋における「強い」とは何なのかを考えてみたい。

藤井は29連勝したから強いのか?仮に、である。仮に藤井が10連勝でストップしていたとしよう。だったら、彼は強くなかったのか。



 

「強い」とはどんなことを言うのだろう

ねずみの嫁入り-ガイド画

ねずみの嫁入り-ガイド画

『ねずみの嫁入り』という昔話をご存知だろうか?
ねずみの夫婦には自慢の娘がいた。この夫婦、娘をねずみとは結婚させたくない。なにせ、最高と自負する娘だ。お似合いなのは「天下一強い男だ。探そう」と話し合う。

まずはお天道(てんとう)さまのところに行くが、「いやいや、私は雲に隠される。雲のほうが強い」と辞退される。

雲の所に行けば、「いやいや私は風に吹き飛ばされる」と辞退。しかし、風は「いやいや私は壁に防がれる。壁ほど強いものはない」と言う。

壁で決まりだと頼めば「いやいや、私はねずみにかじられる。ねずみが一番強い」。

ほほえましい笑い話だ。 だが、笑いの中に真理がある。「強い」を決めるのは、かように難しいことなのだ。



 

実績からの強さ

チャンピオンは強い

チャンピオンは強い

もちろん、積み重ねた実績から「強い」は認定できる。相撲で言えば、横綱は強い。勝ち星を重ねた結果、たどり着いたポジションにあるからだ。同様にボクシングならばチャンピオンは強い。

もちろん我が将棋も同じだ。

歴史を紐解いてみよう。「十年不敗の名人」と称された木村義雄(1905年-1986年)。全冠を制覇した升田幸三(1918年-1991年)。通算1433勝(歴代1位)の大山康晴(1923年-1992年)。現代においては七つのタイトルを独占した羽生善治(過去記事)。彼らはその実績から強いと万人から認められる棋士だ。はっきり言おう。彼らの実績に比べれば、藤井の連勝記録も霞んでしまう。

だが……である。

実績から「強い」かどうかを判断するのは簡単だが、ベクトルが違う。 「とてつもなく強い」からすごい実績ができるわけで、その逆は本末転倒である



 

最後は品格の勝負

全冠制覇の升田幸三

全冠制覇の升田幸三

升田幸三(過去記事)はこう語っている。

「将棋は、技術が同じなら体力で勝負がつく。体力も同じなら精神力。なおも互角なら最後は品格の勝負になる」

最後の「品格」を升田がどのような意味合いで使ったのかは不明だ。いわゆる「上品」「下品」ではなく、おそらくは、風格、オーラのようなものではないかとガイドは推察しているがいかがであろう。いずれにせよ、相手に「この人にはとても勝てない」と嘆息させる何かの存在が「とてつもなく強い」か否かの分水嶺となる。彼らはとてつもなく強い。では、その分水嶺が垣間見える例をあげよう。



 

とてつもなく強い棋士の分水嶺

羽生はとてつもなく強い

羽生はとてつもなく強い

それまで世襲、あるいは推挙制だった名人位という権威を、実力で勝ち取った初の棋士が木村義雄である。

その木村と升田幸三はこんな会話を交わしたそうだ。

「名人なんてゴミのようなもんだ(升田)」

「じゃあ、名人がゴミなら君は何だ?(木村)]

「さあね。ゴミにたかるハエですか(升田)」

その升田は「新手一生」、常に新戦法を考案しようとした。だが、ともに苦労を乗り越えた弟弟子・大山康晴は否定するかのようにこう語る。

「平凡にまさる妙手なし」

羽生善治は、内弟子制度、いわゆる雑巾がけがの苦労があってこそ強くなれるという「常識」にこう言い放った。

「苦労したから将棋が強くなるとも思わない。将棋は将棋、苦労は苦労と切り離して考えています」

ご覧頂いたように、すべて、ある時代への迎合を否定する言動だ。つまりは時代という権威の分水嶺を越えている。だからこそ、オーラが生まれる。ゆえに相手は威圧される、そして、私たちはそれを楽しめる。

藤井の分水嶺

藤井聡太四段の素地

藤井聡太四段の素地

さて、ガイドが問われ続けている「藤井さんの強さについて」である。

藤井は研究方法として人工知能を採り入れているという。それによって、棋力を高めてきた。これは、まったく時代に沿うものである。多くの若手棋士が同様の研究を行っている。藤井もいわゆる現代っ子なのである。

だが、一方で彼には、こんなエピソードがある。小学生の頃、教室でこう発言したという。

「志村けんって誰? 歴史上の人物?」

テレビ番組で公表されたのだが、出演者たちの論調はこうであった。

「やっぱり将棋に没頭していたんですね、すごいですね」

すごいのは、そこではないとガイドは思う。

幼いながらも、藤井は迎合を良しとせぬものを持っていたのだ。志村けんは、いわゆる社会の常識である。時代の権威と言ってもいいだろう。それを知らぬと言い放てる力こそ、将来のオーラへとつながる素地である。藤井は「とてつもない」へ化ける要素を持っている、それも、しっかりと。

道場破りに臨めるか

相手の土俵

相手の土俵

とてつもなく「強い」者となるには必須の条件がある。ガイドはそう考えている。それは道場破りだ。自分の道場でのみ戦っていても、それは「強い」どまりであろう。ではプロの将棋界で道場破りができるか?

大正から昭和の初期は関西と関東で棋界が割れていたため、それも可能であったろう。だが、現代はそんな機会はない。しかし、こんな方法で擬似道場破りができる。

それは、敵の土俵、つまり相手得意の戦型で戦うことだ。

実際に、羽生はゾクゾクするような「相手十分の土俵」での戦いを好み、入り込む。

では、藤井にその素地はあるか?

ガイドはある一局に注目していた。

それは、2017年7月6日に行われた藤井聡太四段と中田功七段の戦いである。

藤井聡太四段VS中田功七段から

デビュー以来の連勝を続けてきた藤井。竜王戦の不祥事もあり、衰退も囁かれた将棋界。救世主としての熱い期待を感じていたであろう。負けられぬ戦いを強いられていた。だが、2017年7月2日、佐々木勇気五段に敗れる。記録という檻から解き放たれた藤井の次の対局こそ、ガイドにとっては連勝中よりも、興味深い戦いとなったのだ。

中田功(いさお)七段。中田は三間飛車戦法のエキスパートだ。そのニックネームから「コーヤン流」と名付けられるほどである。特に難敵の居飛車穴熊に対して、その攻略方法を確立し「中田功XP」なる命名まで受けている。

藤井は「中田功XP」という土俵に登れるのか、いや、登るのか? ここで、ご存じない方のために補足すると、将棋という競技は面白いもので、互いがある戦型を避けようと思えば、避けられるのだ。ガイドは固唾を飲んだ。

そして藤井は登った。開放感に浸るかのように、中田の土俵に登った。先輩、中田も受けて立つ。ずっと中田のうまさが目立つ将棋。しかし、最後は紙一重の差で藤井が勝利。いや、勝敗など、どうでもよい。両者の魂が眩しいほどに光る戦いだった

ガイドの答え

「藤井さんの強さについて一言」に答えたい。

藤井は強い。だが、まだ、「とてつもなく強い」ではない。しかし、これだけは言える。藤井は分水嶺を越え、道場破りに臨める素地を持っている。つまり、とてつもなく強くなる可能性を持った棋士である。

お読み頂き、ありがとうございました。



 

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追記

「敬称に関して」

文中における個人名の敬称について、ガイドは下記のように考えています。

(1)プロ棋士の方の活動は公的であると考え、敬称を略させていただきます。ただし、ガイドが棋士としての行為外の活動だと考えた場合には敬称をつけさせていただきます。

(2)アマ棋士の方には敬称をつけさせていただきます。

(3)その他の方々も職業的公人であると考えた場合は敬称を略させていただきます。

「文中の記述に関して」

(1)文中の記述は、すべて記事の初公開時を現時点としています。